君に捧げる一途な愛

今日も、智美さんに経理部に伝票を持って行くように頼まれて内心すごく嬉しかった。
もしかして、小笠原課長が仕事をしているところを見れるかな、なんて思っていた。
比嘉部長が席を外していたので、幸運にも小笠原課長と話が出来た。

博美は愚痴ばかり言っているけど、同じ部署で話も出来て顔も見れるなんて羨ましい限りだ。

「よろしくお願いします」

私は持っていた伝票の入っていたファイルを渡し、頭を下げた。
振り返り、歩きながらチラリと博美の方を見ると、電話対応をしていたのか受話器を置いたところだった。
私と目が合うと、ヒラヒラと手を振ってくる。

小笠原課長と同じ部署で羨ましいという本音は胸に秘め、真面目にしなさいよという視線を送り、私は経理部のフロアを出た。



午後から出荷準備を手伝うことになったので、倉庫内を行ったり来たりしていた。

顧客から注文を受けた商品を梱包し、指定の場所に配送する。
たまに、本社の人に頼まれた商品を梱包して、直接手渡しすることもある。

出荷指示書をもとに、不良品がないか検品した商品と納品書を梱包する。

最初は商品の場所を覚えるのに苦労し、時間もかなりかかっていた。
遅い、と何度か注意されたことがあり、必死に覚える努力をした。

場所さえ覚えてしまえば、前は二時間かかっていた作業も半分の時間で出来るようになっていた。

すべての作業を終え、事務所に戻った。
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