君に捧げる一途な愛

「志乃、大丈夫だ。俺はお前しか見ていないから」

耳元で囁かれ、私はその一言で不安が一気に吹き飛んだ。

「あのさ、よく平気でそんな非常識なことが言えるよな。というか、自意識過剰も甚だしい」

「は?」

政宗さんの言葉に茅乃は眉間にシワを寄せる。

「なんでも自分の思い通りになると思っているなら、相当おめでたい頭だな」

こんなに毒を吐く政宗さんに驚きを隠せない。
茅乃も信じられないと言う表情になりながらも口を開く。

「な、なんであんたにそんなことを言われないといけないのよっ」

「自分中心でしか物事を考えられない人間には誰かが言わないと分からないからだろ。志乃に我慢をさせて自分の欲望を満たす。それが、どれだけ志乃の心を傷つけてきたと思っているんだ」

政宗さんの怒りを孕んだ声に茅乃は唖然としている。

「俺は天地がひっくり返っても志乃の妹を選ぶことはない」

キッパリと言い放つ。

「な、なによ。こっちだってあんたみたいな男は願い下げよ」

「それはよかった。俺は志乃一筋だから」

政宗さんは甘やかな視線を私に送ってきて、こんな状況なのに胸がキュンとなる。

「余計なお世話かもしれないが、適当に男に声をかけるのは止めた方がいい。周りに誰も人がいなくなるぞ」

「適当に声なんてかけてないし、ホント余計なお世話よっ」

茅乃が政宗さんを睨み付けながら言う。

ふと、茅乃と一緒にいた男の人を見ると、どうしていいのか分からず困惑しているように見えた。
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