君に捧げる一途な愛
「私の心は傷つき悲鳴を上げていた。だから、なにも望まなくなった。自分の心を守るためには諦めた方が楽だと思ったの。実際、私が抵抗しなくなったら興味をなくしたのか、茅乃はなにも言ってこなくなったでしょ。それでやっと私の心は平穏を取り戻したけど、私が大学の時にまた邪魔をしてきたよね。私はもう本当に疲れてしまったから、就職と同時に茅乃から離れたいと思った」
他人に裏切られたのは初めてで、本当に辛かった。
「でも、私は政宗さんに出会って変わったわ。自分の気持ちに素直に生きることにしたの」
政宗さんを見上げると、私を優しく見つめてくれていた。
「本当に大切なものは自分の手で守らないといけない。逃げたり諦めたりしたくない。だから、私は茅乃にも変わって欲しいと思う」
私は真っ直ぐに茅乃を見つめる。
「茅乃は私よりも美人だし勉強が出来る。高校では生徒会にも入って頑張ってたよね。それってさ、私のことなんて眼中になかった時だよね」
私が抵抗することをやめてからは、茅乃は私に絡まなくなった。
その時、姉妹の会話はなかったけど両親と茅乃が話している内容は耳にしていた。
茅乃はこの辺ではトップクラスの進学校に合格した。
母親は誇らしげに、茅乃が生徒会執行部に入り、先生からも一目置かれていたと言っていた。
私のことがなければ、茅乃は優等生なはず。
「茅乃、あの人は彼氏なんでしょ。自分の周りにいてくれる人を大切にした方がいいよ」
茅乃が視界に入った時、男の人と手を繋いでいたけど、私を見た途端に手を放してこちらに向かってきていたんだ。