君に捧げる一途な愛
「お姉ちゃん、今まで本当にごめんなさい。今日も久しぶりに会えて嬉しくなってつい絡んじゃった……」
申し訳なさそうに眉を下げる。
今思えば、私の物を欲しがったりしたのは、茅乃なりの私へのアプローチの仕方だったんだろう。
それが間違っていると頭では理解していたけど、茅乃も取り返しのつかないところまできてしまったのかもしれない。
茅乃とこうして話が出来て、昔のトラウマも払しょくできた気がする。
「もういいよ。私ももっと早く茅乃と向き合っていればこんなに拗れなかったんだろうし。私の方こそ気づいてあげられなくてごめんね」
「お姉ちゃんっ」
茅乃は目を潤ませ、私に抱き着いてきた。
こんな風に茅乃と触れ合うのは初めてで、なんだかくすぐったい気持ちになる。
私も茅乃の背中に手を回し、ポンポンと数回撫でた。
茅乃の気持ちが落ち着いてから、私たちは連絡先を交換した。
「さて、そろそろ帰ろうか」
政宗さんが口を開く。
「お姉ちゃん、また連絡するね」
「うん。茅乃も元気で」
私は茅乃に手を振っていたら、急に茅乃が政宗さんに声をかけた。
「ちょっと、政宗って人!お姉ちゃんを大事にしてよ。泣かせたら許さないから」
「言われなくてもそのつもりだ。君こそ、あの彼氏を大事にしろよ」
「そのつもりですよーだ」
茅乃はべーと舌を出し、後ろに控えていた彼氏の元に向かった。
男の人は私たちに向かって小さく会釈し、茅乃と二人で手を繋いで歩きだした。
その後ろ姿を見て、私は心の棘が取れた気分になっていた。