君に捧げる一途な愛

「ホラ、見てよ。周りの女子が騒いでるでしょ」

政宗さんたちの周りにいた女子社員がチラチラと二人を見ては何か話している。

立花課長と言えば、次期社長の御曹司。
長身でサラッとした真っ黒な髪の毛に二重の切れ長の目、鼻筋の通った高い鼻、文句なしのイケメンだ。
当然仕事も出来るのでモテないわけがない。

政宗さんも端正な顔立ちをしている。
圧倒的に目立つのは立花課長で、政宗さんにも隠れファンがいると聞いている。
私の贔屓目もあるけど、政宗さんも引けをとってないと思う。
そんなことを考えるだけでモヤる私もどうかしてる。
自分で自分の首を絞めているので考えるのをやめよう。

二人が座ったのは、四人掛けテーブル席。
ひとり先に座っていた男性がいて、政宗さんたちはその人の向かいに並んで座っている。
ということは、男性の隣の席がひとつ空席だ。
数名の女子社員が食事ののったトレイを持って、チラチラとそこを見ている。
誰が座るのかと牽制しているように見えた。
だけど、そこの席に座るのはかなりハードルが高そうだ。

「この席いいかしら?」

そう声をかけた女性がいた。
胸までのブラウンの髪の毛は緩くパーマがかかり、モデル並みの長身でパンツスーツを見事に着こなしている。
しかも、出るところはちゃんと出ているグラマラスボディで女子が羨むぐらいの体型だ。
背筋もピンと伸び、その立ち姿から自信に満ち溢れたオーラが漂ってくる。

後から座った政宗さんたちは、その声に返事することなく、どうやら先に座っていた男性に決定権を委ねていた。
その男性は驚きながらも、コクコクと頷いていた。
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