君に捧げる一途な愛
「バカって言った方がバカなんですけど」
「はいはい。志乃も由香の相手は疲れるだろ」
「そんなことないよ。由香とは長年の付き合いだし、私の一番の理解者だから」
由香がいなかったら、私はつまらない人生を送っていただろう。
いつもそばに寄り添ってくれる由香の存在がどれだけ私を救ってくれたか分からない。
だから、由香には感謝しかない。
「ふふ、そういう事。私と志乃と相思相愛だから」
「まあいいけど。てか、食べ終わったなら席いい?」
「あっ、ごめんね。由香、行こう」
「オッケー。じゃ、お先に」
私と由香が席を立つと、西田くんがトレーをテーブルに置いた。
「そうだ。今度の同期会は志乃の希望の番だろ」
「そうだったかな?」
「そうだよ。また場所が決まったら教えて。予約取るから」
「うん、分かった。ありがとう」
同期会はメンバーがそれぞれ順番に行きたい場所を決める。
居酒屋、中華、焼き肉、イタリアンなど。
毎回、同じ場所だとつまらないのでいろんなところでやろうと西田くんが言い出した。
で、今回は私に順番が回ってきたみたいだ。
「食器、返してくるから待ってて」
「分かった」
返却口へ向かう由香を少し離れた場所で待ちながら何気なく食堂内を見回すと政宗さんと目が合った。
私に気づいてくれたことが嬉しくて頬が緩みそうになるのを必死に押さえ、他の人に気づかれないよう軽く頭を下げた。
「志乃、お待たせ。どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
左右に首を振り、由香と一緒に食堂を出た。