君に捧げる一途な愛
「同期会の場所、どうしようかな。この前は居酒屋だったよね」
エレベーターを待ちながら、由香に相談する。
あまりお店とか詳しくないし、行きたい場所と言われても困ってしまう。
「そうだね。イタリアンバルとかどう?」
「あっ、それいいかも。さすが由香!西田くんにまた連絡しておくね」
「そういえばさ、同期会の前に志乃は他部署交流の飲み会があるよね」
由香に言われハッとした。
そうだ、今月末にあるんだ。
「あの子も一緒だから面倒だと思うけど、さすがに変に絡んでくることはないでしょ。いい?ダーリンは志乃にベタ惚れだし不安になる要素はこれっぽっちもないんだからね。目の前で会話してるのを見ただけでモヤモヤしない。スルーして気にしない。自信を持つこと。わかった?」
私の思考回路を読まれているんじゃないかというぐらいの由香の言葉。
好きな人というか、彼氏が他の女の人と話しているだけでモヤる許容の狭さ。
もう少し、余裕のある人になりたい。
「うん、分かった」
他部署交流会だけじゃなく、朝倉さんのこともすっかり忘れていた。
こうして私を安心させようとする由香のフォローに感謝だ。
「由香、ありがとね。もし、由香もなにかあったらなんでも言ってね」
「ふふ、今のところ恋愛関係で志乃に相談することはないと思うんだけどね。でも、ありがとう」
順調で何よりだ。
恋愛関係において、私が頼りになるとは思えない。
でも、いざって時には親友の力にはなりたいと思う。
エレベーターが着き、二人でそれに乗り込んだ。