君に捧げる一途な愛

「経理部と総務部、物流部のこれからに乾杯」

比嘉部長の声に各々、グラスをカチンと合わせる。
他部署交流会は総務部も追加で参加することになった。

居酒屋の座敷を貸し切り、場所はランダムに座っている。
掘りごたつ式だから足を伸ばせるので楽だ。

私は智美さんの左隣に座り、お酒を飲んでいた。
比嘉部長は智美さんの右隣に座っている。

夫婦で飲み会に参加すると言っていたので、啓介くんはどうするのか気になっていた。
どうやら、智美さんの両親が孫に会いに一週間ぐらいこちらに滞在しているらしい。
だから、おばあちゃんたちが預かってくれているので今日の参加が可能になった。

啓介くんは明日、おばあちゃんたちが泊まっているホテルから動物園に行く予定なので、夫婦はのんびりさせてもらうと言っていた。

さっきもご飯を食べてご機嫌に笑っている啓介くんの写真を見せてもらい、あまりの可愛さにニヤニヤしてしまった。

「小笠原課長、何を召し上がりますか?」

そんな声が聞こえ、視線をそちらに向けた。
隣のテーブルに朝倉さんが座ってて、彼女の前には政宗さんがいた。

「俺のことは気にしないでくれ。食べたいものは自分で取るので大丈夫だ」

「そうですか」

政宗さんに断られた朝倉さんは残念そうに眉を下げた。

さっきから甲斐甲斐しく政宗さんの世話を焼こうとしている。
そんな姿を見たくはないのに私の視界に入ってくるのでモヤモヤが募る。

政宗さんが苦手な博美は、朝倉さんの隣に座り渋い顔をしてビールを飲んでいた。
< 137 / 219 >

この作品をシェア

pagetop