君に捧げる一途な愛
「できればお願いしたいぐらいですね」
「中村部長、合田くんはいいみたいですがどうですか?」
上杉主任は自分が元いた席の方に向かって声を出す。
そこには物流部の中村部長が座っていた。
中村部長と上杉主任は年齢も近く、仲がいい。
「合田くんがいいなら、倉庫担当になってもらっても構わないよ」
「いいんですか?」
「やる気があるなら、来月から異動という形で上に相談して話を進めるよ」
「ありがとうございます。頑張ります」
合田くんはその場に立ち上がり宣言した。
確かに倉庫は人材不足だったので、ちょうどよかったんだろう。
それに、たびたび助っ人で倉庫の仕事をやっていたので信頼はあるし、物流部内での異動になるので、そこまでおおごとではない。
合田くんの仕事は私たちで振り分ければどうにかなるので、そこまで痛手という訳ではない。
まあ、トータルでいい方向に話が落ち着けそうだ。
その後はみんなお酒も進み、席を移動したりして部署が入り乱れて、各々楽しく盛り上がっている。
私は最初に座った場所から動くことなく、智美さんの隣でまったりと話をしていた。
「小笠原課長は休みの日は何をされてるんですか?」
「特にこれといってなにもしていない」
「そ、そうなんですね。趣味とかって……」
朝倉さんが政宗さんにいろいろ話しかけているのが聞こえた。
あれ、さっきは前に座っていたのに今は政宗さんの隣に朝倉さんが座っていた。
距離の近さに眉間にシワが寄った。
嫌な場面を見てしまい、セーブしなきゃと思うのにビールのおかわりをしていた。