君に捧げる一途な愛

「お土産ショップで仲良さげに買い物してたけど、まさか付き合ってるとかいいませんよね?」

か、買い物……?
ちょっと待って!
あのカチューシャのくだりとか見られている可能性もあり眩暈を覚えた。
そんなことより、今はなんと言って切り抜けるのが正解なんだろう。
頭をフル回転して考える。
きっと彼女に誤魔化しは通用しない。
かと言って、正直に話してもいいのか判断がつかない。
私はどう思われても構わないけど、勝手なことを言って政宗さんに迷惑をかけることだけは避けたい。

「黙ってるってことは肯定とみなしますけど」

鋭い視線を向けられ、このまま黙っていることはできなくて口を開いた。

「親しくもないあなたにそれを言う必要があるかな。私が誰と付き合おうが朝倉さんには関係ないと思うけど」

私が言えるのはこれぐらいだ。

「まあ、木下さんが誰と付き合っても関係はないけど、その相手が重要なんですよね。小笠原課長と付き合っているなら、関係ないと言えないので。あっ、仮に二人が付き合っているとして、同期の遠藤さんは知らないみたいですけど、それってどうなんですかね?」

急に博美の名前が出て疑問が浮かぶ。
同期だからってなんでも話す必要はないと思うし、博美は政宗さんのことを嫌っている。
だから由香にしか伝えていないだけだ。

「結局、朝倉さんはなにが言いたいの?」

「私、小笠原課長のことが好きなんです。木下さん、コソコソと付き合って同期にも話せない関係って本物なんですか?小笠原課長のこと本気じゃないなら譲ってくださいよ」

朝倉さんはサラリと自分の気持ちを口にした。
< 142 / 219 >

この作品をシェア

pagetop