君に捧げる一途な愛
「えっ、」
そんな話を聞いていたんだ。
「俺と朝倉と清水で飲んだことがあって、その時に無理やりいろんな恋バナとか聞かされてたから、今回の件も清水が俺に相談してきたんですよねー」
同期というのは、入社したてで右も左も分からず不安な中、研修を一緒に受けたりして自然と絆みたいなものが生まれる。
みんながみんな同じように仲間意識があるかどうかは疑わしいけど。
私にも同期内で気の合う人は何人かいる。
由香や博美の他にも仲のいい同期はいて、付かず離れずのいい関係で励ましあったりしている。
きっと、合田くんも同じように同期たちと信頼関係を築いていたんだろう。
「朝倉、視力がいいから遠く離れていた場所からでも志乃りんたちの買い物する様子が見えてたみたいで。清水が言うには、朝倉は志乃りんたちが買ったキーホルダーを自分でも買ったらしいっす。で、そのキーホルダーでなんか企んでるみたいだったから、飲み会があるなら朝倉を見張っておいた方がいいって清水が言ってたんすよね。朝倉は単純で目先のことしか考えられないから、なにかやらかしそうだって」
合田くんは「だけど、」と言って気まずそうに頭をかいた。
「見張ってたつもりだったけど、まさか俺がトイレに行ってる間にバトルが始まってるとは思わなかったので焦りましたよ~。てか、譲ってくださいと言った時はドン引きしたけど」
呆れたように言う。
譲れの件については私も同意だけど……。
「もしかして、私たちの話を全部聞いてたの?」
「まあ、そうっすね。そのお陰で大事にならずにすんだでしょ」
確かにその通りだ。