君に捧げる一途な愛

「朝倉には現実を突きつけたので、これ以上余計なことはしないと思うけど。やるとしたら、告って振られるか黙ってるかのどちらかっすね。あっ、もし志乃りんになんか言ってきたら教えてください。次は清水と一緒に言い聞かすので。はぁー、マジで世話が焼ける」

朝倉さんのことを思って言ったであろう合田くんの声色は優しかった。

「ありがとう、合田くん」

私一人では朝倉さんの相手は出来なかった。
今回は合田くんに感謝だ。

「いえいえ~。志乃りん、惚れ直した?」

私がお礼を言うと、悪戯っ子の顔で笑う。

「いや、直すもなにも一度も惚れたことがないから」

「ちえー、またフラれた」

口を尖らせる。
このセリフ、何度聞いたことか分からないけど、これでこそ私の知っている合田くんだ。

本来の合田くんは同期内では頼りにされているんだろう。
清水さんに言われたからって、嫌だったら突っぱねればいいと思う。
でも、それをやらないのは朝倉さんがおかしな方向にいかないよう、厳しいことをいいながらもフォローしてあげる合田くんの優しさだ。

「そうそう、志乃りんたちのこと知ってるの俺ら三人だけだし黙ってるので、そこは安心してくださいね~」

ニッと笑い「戻りましょうか」と言って半個室を出て通路を歩き、一人先に座敷の扉を開けて入っていった。

惚れ直しはしないけど、合田くんのことは見直していた。
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