君に捧げる一途な愛
「はぁ、可愛すぎるんだけど」
えっ、と思った私は目を開けた。
添えていた手を離して隣に座っていた政宗さんを見ると困ったように笑い、耳元に顔を寄せてきた。
「ここがタクシーじゃなかったらキスをしていた」
そんなことを言われ、私の顔はさらに赤みを増した。
付き合いだして、日に日に政宗さんのことが好きになっていく。
この気持ちは際限がない。
アルコールの影響からか、私の口は恥ずかしげもなく滑らかに喋りだす。
「私もしたかったです……」
「マジで勘弁してくれ。可愛すぎてどうにかなりそうだ」
政宗さんは私の右手を掴むと自分の口元に持っていき、そこに唇を寄せた。
どうにかなりそうなのはこっちの台詞だ。
王子様のような仕草にドキドキが止まらない。
そういえば、政宗さんに言わないといけないことがあったことを思い出した。
「あの、朝倉さんに水族館で私たちが一緒にいるところを見られたみたいで、付き合っていることがバレちゃいました」
朝倉さんの件は報告した方がいいと思った。
譲ってくれと言われたことは、話す必要がないので黙っておいたけど。
「そうか」
えっ、それだけ?
意外にも政宗さんは驚くことなく平然としている。
まるで、誰に見られてもいいような感じだ。
「それで他になにかおかしなことを言われなかったか?」
「はい、大丈夫です。朝倉さんと話しているときに合田くんがフォローに入ってくれたので」
「合田くん?」
不機嫌そうな声がした。