君に捧げる一途な愛
「どうかしましたか?」
「気に食わない。どうしてそいつがフォローしたんだ?」
お酒に酔っているのか、政宗さんは珍しく拗ねた言い方をする。
合田くんがフォローしてくれた経緯を正直に話をした。
同期の清水さんのくだりとか、説明が難しくて苦労したけど。
話を聞き終わった政宗さんは、指と指を絡めて恋人繋ぎをして私の頭に自分の頭をコツンとぶつけてきた。
「もし、次に志乃になにかあったら絶対に俺が助けに行くからすぐに呼んで。俺の知らないところで志乃が嫌な思いをしたり傷つけられるのは嫌だから」
本当に私のことを想ってくれているんだなと言うのが伝わってきた。
「それと、俺たちの付き合いは誰に見られても問題ないから志乃は気にするなよ」
「大丈夫なんですか?私と付き合っていることを誰かに知られても」
「俺は全然構わないよ。むしろ、志乃が彼女だと言いふらしたいぐらいだ」
そう言って握っていた手に力を込める。
「まあ言いふらしたいのは冗談だけど、志乃と付き合っていることで困ることはなにひとつないから大丈夫だ」
政宗さんの言葉ひとつで安心感に包まれる。
こうして手を繋いでいるだけで、飲み会でのモヤモヤも一気に吹き飛んだ私は現金な女だ。
心の引っ掛かりもなくなり、タクシーの揺れもありうつらうつらとしてくる。
それを察したのか、政宗さんは私の肩を抱き寄せた。
「着いたら教えるから寝てもいいよ」
「でも……」
とか言いながらも、睡魔に逆らえない私はそのまま寄りかかり、政宗さんの温もりを感じなから目を閉じた。