君に捧げる一途な愛
次の週の土曜日。
由香と一緒に買い物に出かけていた。
お互いに車は持っていないので移動は電車だ。
九条さんとの付き合いも順調らしく、毎日が楽しいと惚気話を聞かされた。
由香から「志乃はどう?」と聞かれたけど、ペラペラと政宗さんとのことを喋るのは恥ずかしくて、順調だとしか言えなかった。
昼御飯のパスタを食べ、駅地下のショップを見ながら歩く。
ふと立ち寄ったアクセサリーショップで花をモチーフにしたピアスを見つけた。
「可愛い」
「どれ?」
「このピアス」
手に取って由香に見せたのは、フックピアスの先に青色の花がついている。
色は他にもピンクやグリーンがあったけど、私は青を選んだ。
「ホントだ、可愛い。てか、ピンクとかじゃないんだね。志乃が青を選ぶの珍しいじゃん」
「あ、うん。綺麗な色だから青がいいかなと思って」
「いいんじゃない?志乃ってアクセサリーとかパステル系を選ぶ傾向があるけど、その青も似合うと思うよ」
「ホント?嬉しい」
ふふ、と笑みが溢れる。
青は政宗さんが好きな色と言っていた。
好きな人の好きな色を身につけたいなと単純に思ったんだ。
「由香はなにかいいものあった?」
「ねぇ、私もピアスお揃いにしてもいい?」
「もちろんいいよ」
好きな人とお揃いもいいけど、友達とお揃いも私は全然構わない。
むしろ、仲良しって感じがして嬉しくなる。
「じゃあ、私は緑のピアスにしようっと」
二人でピアスを手にレジに向かった。
可愛いピアスを買えて満足した私たちは駅地下を出た。
歩道を歩いていたら、大学時代に通っていた料理教室が視界に入った。