君に捧げる一途な愛
「年上なんですけど、面白くて優しくて、頼りがいがある人です」
「へぇ、志乃ちゃんは?」
この流れで話すのは恥ずかしいものがあったけど……。
「私も年上の人で、すごく優しくて誠実な人です」
「あらあら、二人ともいい出会いがあってよかったわね。うちの娘は全然結婚願望がなくて仕事ばかりなのよ。しかも彼氏なんていらないって言うし」
森沢先生がため息をつきながら愚痴る。
確か、森沢先生は二人の子供がいた。
「あら、いいじゃない。玲くんは結婚しているんだから。うちの息子なんて三十一で仕事ばかり、結婚のけの字もないのよ。彼女もいるのか、いないのかも教えてくれないし」
百合さんは頬を膨らませる。
百合さんのところは一人っ子だったかな?
他にも子供がいた気がするけど、忘れてしまった。
「そういえば、マサくんは独身だったわね。志乃ちゃんや由香ちゃんに彼氏がいなかったらお嫁さんに来てもらえたのに」
「本当にそうね。二人ともいい子だし、私も仲良くできたのに残念だわ」
私と由香は苦笑いしながら顔を見合わせた。
楽しい時間はあっという間、気がつけば夕方になっていた。
「今日はすごく楽しかったです。ケーキもごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした。久しぶりにお二人に会えてよかったです」
お礼を伝え、軽く頭を下げた。
私たちの分まで森沢先生が支払ってくれた。
「いえいえ。そうだ、あなたたちが嫁入り前はもう一度料理教室に通ってくれてもいいわよ」
森沢先生がウィンクしながら言う。
「是非お願いします」
私と由香は結婚前の料理教室の予約をして家路についた。