君に捧げる一途な愛
「政宗さん、白米食べますよね」
「ああ」
「ビール飲みますか?」
「うん、ありがとう」
お茶碗に白米をよそい、冷蔵庫から缶ビールを出してグラスを用意する。
それらとお茶の入ったコップと一緒にお盆にのせて運んだ。
グラスにビールを注ぎ、食べる準備完了だ。
「いただきます」
二人で手を合わせて食べ始めようとしたら、政宗さんのスマホが鳴った。
「悪い」
そう言ってスマホを手に取って画面を見た。
そのまま、電話に出るのかと思ったけどその気配はない。
仕事関係ならすぐに出ると思うけど、プライベートな電話なんだろうか。
「あの、電話に出るなら席を外しましょうか」
私が居るから出にくいのかなと思ったんだけど。
「いや、大丈夫。母親からの電話だから」
「出なくていいんですか?」
「どうでもいい内容の電話しかかけてこないからな。俺があまり自炊しないからご飯はちゃんと食べているのかとかいろいろ。急用ならまたかけてくるだろうから、志乃は気にしなくていいよ。それより早く食べようか」
政宗さんが一瞬眉間にシワを寄せたのが気になったけど、スマホを置いて箸を手に取った。
確かに急用ならまた電話が鳴るよね、と納得した。
「へえ、志乃のうちも豆腐は三角にするんだな」
「政宗さんの家でもですか?」
「ああ、母親がいつも鍋のときとか三角に切っていた」
「そうなんですね!私も三角に切った方が崩れにくく箸で持てるって言う話を聞いてから、三角に切ってます」
思わぬ共通点に驚いた。