君に捧げる一途な愛
近づく距離

「どうぞ、上がって」

「おじゃまします」

私は電車と徒歩で智美さんのマンションに来ていた。

啓介くんも大きくなり、部屋が手狭になったので比嘉家は新築を建設中だと言っていたので、このマンションは近々引っ越す予定らしい。

玄関先に出迎えたくれた智美さんはオフホワイトのブラウスにカーディガンを羽織り、下はネイビーのフレアスカートを穿いていた。

玄関スペースには靴が並べられていて、隅には啓介くんの外で遊ぶときのものであろうオモチャが置いてある。

「しのちゃ~ん」

笑顔で玄関口まで駆け寄ってきてくれた啓介くん。
柔らかな栗毛色の髪の毛、クリクリな大きな目にぷっくらほっぺ。
可愛くて本当に天使みたい。

「こんにちは、啓介くん。今日は一緒に遊ぼうね」

しゃがんで目線を合わせる。

「うん。ぼく、すべりだいやりたい」

「そうだね、やろうね」

「志乃ちゃん、今日はありがとう」

啓介くんと話をしていたら、廊下の奥から旦那さんの比嘉部長が歩いてきた。

「とんでもないです。今日はゆっくり楽しんでくださいね」

私は笑顔で答えた。

比嘉部長は智美さんより一回り年齢が離れていて、智美さんが積極的にアプローチして恋を実らせたと聞いている。

比嘉部長はがっしりとした体格で、彫りの深い顔つきだ。
ちょっと失礼かもしれないけど、動物に例えたら熊というのがピッタリだ。
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