君に捧げる一途な愛

実家では母親は四角に切っていた。
でも、料理教室で三角に切った方がいいと言う話を聞いてからはそればかりだ。
たぶん、由香も三角に切っていると思う。
他愛もない話をしながらご飯を食べるのはすごく楽しい。

政宗さんはキノコ類が好きではないとのことで、キムチ鍋にエノキは入れていない。
好き、嫌いな食べ物を言い合ったり、趣味の話をしたりして、お互いの知らなかった部分を知っていく。

私はコミュニケーション能力が高い方ではない。
話していても相手につまらないと思われているかも、とか考えてしまうことがある。
政宗さんもペラペラと喋る方ではないので、二人の間に沈黙もたまにある。

他の人だったら、その沈黙が嫌でどうにかして話さなきゃと思うけど、政宗さんだとそれがない。
お互いに無理せず、自然体でいることが居心地がいい。

気がつくと、キムチ鍋はきれいになくなっていた。

「ごちそうさま」

「お粗末様でした」

お腹が一杯になり、休憩しながらテレビを見る。
ちょうど音楽番組が始まっていて、人気アーティストが歌を歌っている。

一人の時はあまりテレビは見ない。
いつもスマホをいじっていて、好きな動画クリエイターのライブ配信を見たりゲーム実況を見て楽しんでいる。

実家に居るとき、テレビの主導権は茅乃にあったし、特にこれといって見たい番組があるわけではなかった。
ついている番組を何気なく見る程度。
独り暮らしの今も、そこまでテレビを気にしない生活をしている。

ふと、キッチンを見ると政宗さんが洗い物をしてくれている。
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