君に捧げる一途な愛
『俺が洗い物するから志乃はテレビでも見ていて』と言われたんだ。
最初は断ったけど、政宗さんが譲らなかったのでお言葉に甘えてしまった。
料理は得意ではないけど洗い物なら出来ると言って、いつも率先してやってくれる。
いい旦那さんになりそうだな、なんてぼんやり考える。
きっと政宗さんと結婚できたら幸せだろうな。
そんな未来を考えるほど、私は政宗さんのことが好きになっている。
不意に正面に影ができ、「えっ?」と思ったときには政宗さんの手が私の両頬を包み込んでいた。
「ひゃっ」
「なに考えてるんだ?」
あまりの手の冷たさに身体が震えた。
その冷たい手はなに?
「冷た……、お湯で洗わなかったんですか?」
「お皿とかは湯で洗ったよ。でも、志乃がぼんやりしてたから刺激を与えようかなと思って、最後に水で手を洗った」
いたずらっ子の顔をして手をヒラヒラさせた。
「そんな刺激要らないです」
私が頬を膨らませると「ごめんごめん」と笑いながらソファに腰を下ろす。
「洗い物、ありがとうございます」
私は冷たくなった政宗さんの手を取り、私の手で包み込む。
変ないたずらで手を冷たくさせなくてもいいのに。
「あたためてくれるの?」
「一応、そのつもりです」
「ふはっ、俺の彼女は可愛いことしてくれるね」
楽しそうに笑う。
付き合いだして、こんな風に笑う政宗さんの顔も見慣れてきた。