君に捧げる一途な愛
疲れすぎてあまり食欲がない。
とりあえず月見うどんを注文し、空いている席に座り大きくため息をついた。

「あれ、志乃じゃん。ここ座るよ」

唐揚げ定食のトレイを手にした西田くんが私の前の席に座った。

「どうぞ」

「大きなため息ついてたけど、なんかあった?」

「ちょっとトラブっただけだよ。月曜の朝イチだったから余計にしんどく感じちゃった」

「そりゃため息も出るわな。ちなみに、俺はしょっちゅうトラブル対処に駆り出されてるけど」

そう言って笑う。
西田くんは情報システム部だ。
詳しい仕事内容は分からないけど、前にPCが止まったとかいうトラブル対処とかもしているという話を聞いたことがある。

「そういえば同期会来年に延期したんだよね」

「そうなんだよ。俺の仕事がバタついてて悪いな」

「仕方ないよ。同期会はいつでも出来るから気にしないで」

西田くんが率先して同期会の計画をたてて盛り上げてくれている。
だから、西田くん不在の同期会は想像できない。

「そう言ってもらえて助かるわ」

「博美は残念がってたけど」

「あいつなー。口を開けば彼氏が欲しいって言ってるから、同期の男らドン引きなんだよな」

「基本、博美は裏表がなくて欲望に忠実だから」

「いや、忠実すぎるだろ。あいつ顔は綺麗なのに口を開けばってヤツだからもったいないわ」

西田くんは呆れたように言い、私をじっと見た。

「志乃と博美を足して二で割ったらちょうどいいかも」

「え?」

「志乃ってあまり自分の欲とか言わないじゃん。それに、次の同期会も志乃のチョイスじゃないだろ」
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