君に捧げる一途な愛
***
水曜日。
出荷明細を作成し終わり、一息ついていたら智美さんが声をかけてきた。
「志乃ちゃん、経理部に伝票を持っていってもらえる?」
「はい、分かりました」
智美さんから伝票を受け取った。
それをクリアファイルに入れると、倉庫内の事務所を出て本社に向かう。
エレベーターに乗り、経理部の階で降りた。
そういえば、経理部には朝倉さんがいることを思い出す。
あれから会うこともなかったし、なにも言ってこなかったので大丈夫だとは思うけど、気まずいことには変わりはない。
政宗さんに会えるのは嬉しいけど、朝倉さんのことを考えると足取りも重くなる。
そんな気持ちを抱えながら経理部まで歩いていたら、途中の廊下で政宗さんとバッタリ会った。
運よく周りには人がいなかったので、高鳴る胸を隠しながら声をかけた。
「お疲れさまです」
「お疲れさま。伝票?」
「はい」
私の手に持っているファイルを見る。
「受け取っておこうか?」
「お願いします」
政宗さんが私のそばまでやってきた。
ファイルを差し出すと、受け取るときに彼の手が私の指に重なった。
偶然だろうと手を引こうとしたら、それを阻止するかのように私の手を包み込んで握ってくる。
これは偶然ではなく、意図的だ。
最初の頃は、誰かに見られたらと焦って周りをキョロキョロ見回していた。
政宗さんは、私が焦っている顔が可愛いとか言って隙あらばこうしてイタズラを仕掛けてくる。
これをするのは周りに人がいない前提だけど。
何度もやられて学習した私はイタズラ返しをしようと試みた。
水曜日。
出荷明細を作成し終わり、一息ついていたら智美さんが声をかけてきた。
「志乃ちゃん、経理部に伝票を持っていってもらえる?」
「はい、分かりました」
智美さんから伝票を受け取った。
それをクリアファイルに入れると、倉庫内の事務所を出て本社に向かう。
エレベーターに乗り、経理部の階で降りた。
そういえば、経理部には朝倉さんがいることを思い出す。
あれから会うこともなかったし、なにも言ってこなかったので大丈夫だとは思うけど、気まずいことには変わりはない。
政宗さんに会えるのは嬉しいけど、朝倉さんのことを考えると足取りも重くなる。
そんな気持ちを抱えながら経理部まで歩いていたら、途中の廊下で政宗さんとバッタリ会った。
運よく周りには人がいなかったので、高鳴る胸を隠しながら声をかけた。
「お疲れさまです」
「お疲れさま。伝票?」
「はい」
私の手に持っているファイルを見る。
「受け取っておこうか?」
「お願いします」
政宗さんが私のそばまでやってきた。
ファイルを差し出すと、受け取るときに彼の手が私の指に重なった。
偶然だろうと手を引こうとしたら、それを阻止するかのように私の手を包み込んで握ってくる。
これは偶然ではなく、意図的だ。
最初の頃は、誰かに見られたらと焦って周りをキョロキョロ見回していた。
政宗さんは、私が焦っている顔が可愛いとか言って隙あらばこうしてイタズラを仕掛けてくる。
これをするのは周りに人がいない前提だけど。
何度もやられて学習した私はイタズラ返しをしようと試みた。