君に捧げる一途な愛

政宗さんはあまり動けないとか言っていたけど、全然そんなことはなかった。
軽快な動きで相手をかわしてシュートを決めていてカッコよすぎる。

「おー、政宗!久しぶりだな」

「武さん、ご無沙汰しています。最近、調子はどうですか?」
 
政宗さんはその場でドリブルしながら、大きな声で話しかけてきた人と楽しそうに談笑している。

私は上の観客席の前方の柵に腕をのせ、政宗さんがバスケをしているのを見ていた。
話が終わったのか、政宗さんが再び動き出した。

ワンドリブルし、シュートモーションに入る。
スリーポイントラインより少し離れた場所からシュートを打つと、ボールが綺麗な放物線を描きながらリングに吸い込まれていく。
ザシュッと音を立てながらネットを揺らしボールは落ちていった。
「すごい」と私は口をあんぐりと開けて見惚れていた。

ふと、フロア入り口の人物に目を向けたとき「えっ、」と声が漏れた。

今、フロアにいるのは西田くん?
月曜に会ったばかりの同期の姿に驚きを隠せない。
西田くんは政宗さんと同じような格好に、右手にはボール、左手には飲み物とタオルを持っている。
もしかして、政宗さんと同じミニバス出身者?

待って!
私、こんなに身を乗り出してみていたら西田くんに気づかれるんじゃ……。
静かに後ずさり、椅子に座った。
まさかこんなことってある?
あとで政宗さんに確認しよう、と思っていたら女性に声をかけられた。
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