君に捧げる一途な愛

「こんばんは」

誰だか分からないけど、「こんばんは」と挨拶をする。
政宗さんに連れてきてもらっているので、悪い印象を与えるのはよくない。

「志乃ちゃん、だよね?」

「はい、そうですけど……」

「よかった。私、佐々木伊織です。鳴島幸也の彼女です」

「あっ、幸也くんの!」

目の前の女性は肩までの髪の毛は緩く巻かれ、目鼻立ちの整ったスレンダーな美人さん。
幸也くんもかっこいいし、美男美女でお似合いのカップルだ。

「幸也からオガに可愛い彼女が出来たって話を聞いていたから会いたかったんだ」

オガというのは、政宗さんのこと?
とりあえず、自己紹介した方がいいのかと思い口を開く。

「あの、初めまして。木下志乃です」

「ふふ、可愛い。幸也とオガとは同級生で小学校から一緒なのよ」

佐々木さんはフワリと微笑んで私の隣に座った。

「みなさん長いお付き合いなんですね」

小学校から一緒って、十二歳からとしても二十年近く経っていることになるよね。

「腐れ縁てやつよ。ちなみに、私と幸也は高校から付き合い始めたのよ」

「高校からずっと付き合っているなんてすごいですね」

「もしかして、ずっと一途にって思ってくれてる?」

「違うんですか?」

「実は付き合ったり別れたりを繰り返してたんだよね。何年か一度に大きい喧嘩して別れて、またくっついてって感じ。まあ、結局は幸也が一番だってことに気づかされるのよ」

つまり、他の人とも付き合ってみたけど幸也くんがよかったということなのかな。
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