君に捧げる一途な愛

佐々木さんは気さくで、コミュ力の高い人だった。
名前で呼んでと言われ、初対面の私にいろんな話を教えてくれた。
今は化粧品会社に勤めていて、十二月いっぱいで退職するらしい。
まだ知り合ったばかりなのに、プライベートなことまで聞いてしまっていいのだろうかとこちらが戸惑った。

「まあ、その退職も幸也と来年の二月に結婚するからなんだけどね」

「わぁ、おめでとうございます」

「ありがとう。志乃ちゃんとオガは付き合い始めたばかりなのよね」

「はい」

私は視線を下に向け、バスケをしてる政宗さんを見た。
伊織さんも同じように視線を落とす。

「オガ、イケメンよね。あれで小学生の頃は太っていたのよ」

「その話は聞いたことがあります」

「ホント?今じゃ信じられないよね。オガや幸也の入ってたミニバスのチームは、全国大会に出場するぐらい強豪だったのよ。で、練習もハードだったこともあって、チームメイトはオガは挫折して辞めるだろうと思っていたの。でも、オガはキツイ練習も耐えて弱音を吐かなかったんだって。どんどん痩せていくし、バスケの才能も開花して幸也と選抜選手にまで選ばれたわ」

「すごい!そうだったんですね」

その話は聞いていないけど、努力した結果、選抜選手に選ばれるなんて本当にすごい。
さっきの政宗さんのプレイやスリーポイントシュートも納得だ。
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