君に捧げる一途な愛
「政宗さんは真面目で優しくて誠実な人だなと思います。いつも私に寄り添ってくれて大切にしてくれて……私にはもったいない人だなって思います」
こんなことを話すのは照れくさい。
だけど、政宗さんと長年の付き合いのある伊織さんには聞いてもらいたかった。
「そっか。志乃ちゃんはオガの本質を見てくれているのね。でも、もったいないとか言わないで。幸也も志乃ちゃんはいい子だって太鼓判を押すぐらいなんだから」
伊織さんは目を細めて言う。
幸也さんに太鼓判を押されているなんて初耳だ。
由香の友達だからっていうのもあるのかもしれない。
「それで会社では会ったりするの?」
「いえ、部署が違うのであまり会ったり出来ません」
「そうなの?それでどうして付き合うことになったの?」
伊織さんが興味津々に聞いてくる。
初対面は会社のイベントでとか、先輩の子供の子守の話をして簡単にいきさつを説明した。
「へぇ、いろんな偶然が重なったんだね。バーでの出会いなんてビックリしたでしょ。同じ時間帯に同じ場所で会うんだから。なんかもう付き合うべくして付き合った感じがするね。由香ちゃんも自然といいアシストしてるし」
伊織さんは感心したように言う。
付き合うべくして付き合った、か。
そんな風に言ってもらえて嬉しいかも。
「でもさ、オガは確か来年ぐらいに会社辞めるよね。御曹司だし、自分の親の会社に戻るって言ってた気がするんだけど」
「えっ、」
会社辞める?
あまりの衝撃に頭が真っ白になった。