君に捧げる一途な愛
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我が家は父、母、弟、妹の五人家族。
父親は『オガサワラ』という総合商社の社長だ。
中学生の頃、親父から『オガサワラ』の方針を聞かされていた。
それは、就職時にまず他社で働いて経験を積むこと。
雇われる立場になり、社会人としての基本的な役割を学ぶ。
社長の息子という立場ではなく、いち社員として働くことの大切さを身をもって体験する。
自分で考えて動き、分からないことがあれば上司に教えを請う。
縦や横の人間関係の構築を図る。
視野を広げ、自社を客観視できるようになって欲しいという先代の教えから、親父もそうしてきたらしい。
就職活動していて、候補のひとつに選んだのは父親の友人が社長の会社、大手文具メーカーの『ラブイット』。
友人の息子だからとコネで入社できるほど『ラブイット』の社長は甘くない。
公私混同はしない人というのも気に入っているし、経験を積めるもってこいの職場だった。
他にも何社か受け、いくつか内定をもらったうちのひとつに『ラブイット』もあった。
第一希望の会社『ラブイット』の内定を受け、申し訳ないが他の会社には内定辞退の連絡を入れた。
無事に入社し、最初に配属されたのは広報部だった。
その一年後、『ラブイット』の社長の息子の立花翔真が入社してきた。
翔真は頭が切れる男で能力の高い男だった。
翔真とは昔から仲が良く、俺を兄の様に慕ってくれていた。
同じ御曹司という立場もあり、お互いに相談しあったりしていた。