君に捧げる一途な愛
「政宗、お前もいい年だろ。そろそろ落ち着いた方がいいと思うんだが、結婚はどう考えているんだ」
「は?」
突然、親父が切り出してきて変な声が出た。
「そうよ。結婚!ずっとお見合いは嫌だの一点張りで断り続けていたでしょ。政宗、彼女はいるの?」
特に前々から口うるさかった母さんからの圧がすごい。
ここぞとばかりに追及してくる。
母さんだけかと思ったら、親父まで結婚の話をしてくるとは予想外だ。
こう見えて親父は子煩悩で、厳しいことも言うが基本子供には甘い。
特に、娘の杏樹にはデレデレだ。
「彼女はいるよ」
「まあまあ!やだわ、どうしてそれを早く言ってくれないのよ。ずっと心配していたのよ。それでその子とは結婚を考えているんでしょうね」
隠すつもりもなかったので正直に言えば母さんが俺の隣に座ってきて、興奮しながら腕を叩く。
「考えているよ」
「それならよかった。で、どんな子なの?」
「同じ会社で働いてる、七歳年下の人」
「あら、政孝と年齢が近いのね。お料理とかできるのかしら?」
「出来るし、美味い」
「あら、いいじゃない。お料理上手なお嬢さんなのね。写真はあるの?」
母さんが興味津々に聞いてくる。
俺が初めて彼女の存在を明かしたから気になるのも分かる。
でも、いい加減質問攻めは止めてほしいんだけど。
ちなみに、スマホのフォルダには志乃の写真はあるけど見せるつもりはない。
こんなことを考えていることに、若干自分でも引いているが。