君に捧げる一途な愛

志乃は幼少期から我が儘を言う妹になんでも譲り、優先せざるを得なかった環境で育ってきた。
様々なことを我慢し、諦めることで自分の心を守ってきた。
それもあってか、自分の意見を押し付けることもなく控えめで、妹に対して苦手意識があるようだった。

でも先日、その妹は姉好きを拗らせていたことが判明。
志乃が好き過ぎるがうえに、いろいろやらかしていたみたいだ。

妹は謝罪し、志乃はそれを受け入れた。
和解してから二人は連絡を取り合うようになり、志乃の笑顔も増えてきたように感じる。

そんな志乃が好ましくて、もっと俺が甘やかしたいと思ってしまう。
今まで、女性に対してこんな風に思ったことはなかった。

要はベタ惚れだ。
今まで我慢していた分、俺にはなんでも自分の気持ちを伝えて欲しい。
出来る限り志乃の希望を叶えてやりたい。

それより母親の期待する視線に自然とため息が出る。
本当に写真を見れると思っているんだろうか。

「ない」

「えー、見たかったのに」

「もういいだろ。質問はおしまい」

話を切り、テーブルに置いていたマグカップを手に取りコーヒーを飲んだ。
口うるさい母さんからやっと解放されると思っていたら、今まで黙っていた親父がとんでもないことを口にした。

「政宗、今度その女性を連れてきなさい。結婚を考えているなら、こちらも挨拶しておきたい」

絶句。
親父がそんなことを言うとは思わなかったので驚きを隠せない。

「いや、まだ早いだろ」

思わずそんなことを口にしていた。
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