君に捧げる一途な愛
今年中ということは、来月までには志乃に話をして両親に会ってもらわないといけない。
まだ、志乃に俺の家のことは話していなかった。
来年の三月には会社を辞めることも。
前々から志乃に話をしないといけないと思っていたけど、なかなかタイミングが掴めず先延ばしにしていた。
自分から『オガサワラ』の御曹司だと言うのは気恥ずかしい。
でも、話さないと先に進めないわけで。
腕を組み、志乃にどうやって切り出そうか考えていたら、ふと俺と同じ立場の翔真のことが頭をよぎった。
前に翔真から社内に年下の彼女がいるという話を聞いていた。
そこも俺と同じとは思わなかったが。
でも、最近の翔真は訳の分からない状態になっていると言ってこちらも頭を悩ませていた。
彼女に偽装恋愛を提案した末、なんだかんだあって偽装をやめて本当に付き合うことになったらしい。
将来的に結婚を考えていたのに、つい先日彼女から急に別れを切り出された。
それがどうも腑に落ちなくて、彼女が別れることを口にした原因を調べると翔真の親父さんが関係していたらしい。
さすがの翔真も苛立ちを隠していなかった。
『ラブイット』の社長としては尊敬できるが、父親としては最悪だ。
その点では、うちの親父は息子の恋愛に口を挟んでこないのでありがたいが。
翔真曰く、『俺は別れたつもりはない』とのことで、諦めずに親父さんと話をすると言っていた。
俺としても、翔真には好きな人と結ばれて欲しいと思う。