君に捧げる一途な愛

「そうだぞ。マジで志乃ちゃん関係になるとヘタレになるのはいい加減やめろよ。大事なことは手遅れになる前に言わないといけないんだから」

幸也が俺の肩を叩いた。
正論過ぎて返す言葉もない。
だけど、こんな風に喝を入れてくれる幸也の存在がありがたかった。

「大事ならちゃんと話し合えよ」

「わかっている。佐々木も気にしなくていいから」

逆に巻き込んでしまって申し訳ないぐらいだ。

「うん。ありがとう。また、志乃ちゃんに会わせてもらってもいい?ちゃんと謝りたいから……」

「ああ。でも、謝るのは無しで頼むよ」

二人と別れ、荷物を手に更衣室に向かった。
俺は着替えを済ませると、体育館の玄関横の椅子に座っているスーツ姿の男性が視界に入った。

「西田?」

「ちょっと話があるんですけどいいですか?」

西田は険しい表情で近づいてきた。

「なんだ、急いでいるんだが」

「単刀直入に聞きますけど、オガさんは志乃とどういう関係ですか?」

志乃の名前が出てきて、思わず眉間にしわが寄った。

西田は年齢は違うが、俺と同じミニバスチーム出身者だ。
何度か体育館で見かけたり、飲み会でも話したことがある程度だったが、同じ会社に就職が決まったときは驚いた。
それと同時に、西田と志乃は会社の同期だということを思い出した。

「それを西田に言う必要があるか?」

「ありますよ。志乃は俺の大事な同期です」

キッパリと俺の目を見て言い放った。
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