君に捧げる一途な愛

大事な同期、ね。
それ以外の感情があったら大問題だが。

俺は志乃と付き合っていることを隠すつもりは全くない。
万が一、そのことで志乃を傷つける奴がいたら容赦しないが。

先日、俺の部下の朝倉に付き合っていることを知られたと志乃が心配そうに言っていた。
朝倉から好意を向けられているのには薄々気づいていたけど、特になにもアクションは起こしてこなかったので放置していた。
自ら面倒ごとに首を突っ込むつもりはなかった。

だけど、先日の飲み会で朝倉は志乃に矛先を向けた。
話を聞けば、俺の知らないところで志乃の後輩が朝倉をいなしたらしい。
本当だったら、俺がそれを回避してやらないといけなかったのに。
事後報告で聞かされた時の苛立ちは、しばらく忘れることはないだろう。

まあ、それはいいとして。
西田は俺と志乃の関係を知ったとして、ベラベラと話すような奴ではない。
だから、正直に話すことにした。

「志乃とは付き合っている」

「それ、本気ですよね」

疑うような視線を向けてくる。
この年で本気で付き合わないなんて不誠実すぎるだろ。
西田は俺を試しているんだろうなというのが伝わってきた。

「当たり前だろ」

「お二人の間に何があったか知りませんが、志乃は自分の言いたいことを我慢するし、物事を悪い方にしか考えられない傾向があるので泣かせないでやってください」

まさか、西田にそんなことを言われるとはな。
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