君に捧げる一途な愛
一難去ってまた一難

どれだけ時間がたったんだろう。
体感的には三十分だったけど、時計を見ると実際は五分ぐらいだった。

ヨロヨロと立ち上がると、靴と靴下を脱いで洗面所に向かった。
バッグをその辺に置き、手洗いうがいをして鏡を見た。
化粧も取れ、目も鼻も赤くて不細工な自分と目が合う。
はあ、とため息をついて濡れた服を脱いで洗濯機の中に放り込んだ。
冷えた身体を早く温めたかったので、湯船にお湯を溜めるのは止めてシャワーを浴びる。
タオルで身体を拭いてスウェットに着替えた。

部屋の暖房をつけて一息つこうとした時、インターフォンが鳴った。
誰だろうとモニターを見ると、そこには政宗さんの姿。

え、どうして政宗さんが?
伊織さんに先に帰ると伝言しておいたけど。
居留守を使ってもいいんだろうか、なんて考えていたら玄関のドアをドンドンと叩く音が聞こえた。
思わず玄関に駆け寄った。

「志乃、いるんだろ。話を聞いて欲しい」

どうしよう、鍵を開けて政宗さんと話をするのが怖い。
でも、このままの状態もよくない気がする。
葛藤の末、私はガチャと鍵を開けてドアノブに手をかけた。

「志乃っ」

ドアを開けた瞬間、私は政宗さんに抱きしめられた。
政宗さんは荒く息を吐いていて、駐車場から走ってここまで来てくれたんだと察する。

「よかった、家にいて。携帯が繋がらなかったから心配していたんだ」

そういえば、スマホの充電が切れていたことを思い出す。
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