君に捧げる一途な愛
きっとご両親に反対されるから。私が身を引いた方がいいのかもしれない。
心から好きになれた人と別れるのは辛いけど、政宗さんの将来のことを考えたら私という存在が邪魔になる。
考えれば考えるほど涙が零れ落ちる。
「は?そんなことあるわけないだろ」
政宗さんは強い口調でキッパリと否定した。
「でも、私は政宗さんには不釣り合い……です」
「なにを言っているんだ。頼むからそんなことを言わないでくれ」
切なさをにじませた表情で懇願し、政宗さんがきつく私を抱きしめてきた。
政宗さんのスーツが私の涙で濡れる。
身動きすらできない腕の強さに政宗さんの必死さがうかがえた。
「でも……」
「俺は志乃のことが好きなんだ。だから志乃と別れるという選択肢はない」
真っ直ぐに気持ちを伝えてくれる。
政宗さんは腕の力を弱め、少し身体を離すと指で私の涙を拭う。
「別れなくても、いいんですか?」
「当たり前だろ。志乃は優しいからいろんなことを考えた末で言ったことなんだよな。でも、俺から志乃を取り上げないでくれ」
そんなことを言われるとは思わず、胸がキュッとなる。
「俺の胃袋はすっかり志乃に掴まれてしまったんだ。責任取ってもらわないと困る」
「えっ、責任ですか?」
ふいにそんなことを言われ、涙も引っ込んだ。
「そうだ。俺は志乃と結婚したいと思っている」
結婚という言葉に心臓が跳ねた。
私との付き合いを真剣に考えてくれているというのが伝わってきた。