君に捧げる一途な愛
「そう、大学の先輩ね……」
切れ長の瞳で私を見据える。
「もし、困っていることがあったら遠慮なく言って。マサくん、小笠原課長経由でもいいから」
「えっ?」
不意に政宗さんの名前が出てきてドキッとした。
もしかして、立花課長は私と政宗さんが付き合っていることを知っているんだろうか。
そういえば、社食で二人一緒にいるところを見たことがあったけど……。
脳内で二人の関係性を導き出していたら、立花課長は微笑んで口を開く。
「彼とは昔からの知り合いで、よく面倒見てもらっているんだ」
正解を教えてくれた。
類は友を呼ぶじゃないけど、イケメンにはイケメンの知り合いがいるんだなと感心してしまった。
「それじゃあ、打ち合わせがあるので失礼するよ」
「ありがとうございました」
改めてお礼を言って頭を下げると、立花課長は片手をあげて踵を返した。
イケメンは去り際もスマートだ。
そんなことより、会社で先輩と遭遇するとは思わなくて本当に驚いた。
先輩から私を振ったくせに、何事もなかったように話しかけてくるなんてどういうつもりなんだろう。
あの一件で、先輩に嫌悪感を抱いていたから腕を掴まれたときは本当に焦ったし、私一人じゃ対応しきれなかったと思う。
先輩と約束していた人が立花課長でよかった。
違う人だったら、こんな風に助けてくれなかったかもしれない。
それにしても、立花課長も政宗さんに負けず劣らず、大人の色気がある人だった。