君に捧げる一途な愛
でも、私は先日茅乃に会ってあの時の出来事を聞いていた。
茅乃が言い寄ったのは先輩の気持ちを試すためだった。
先輩は茅乃の誘惑にまんまとはまって私に別れを切り出した。
先輩の本性を知った茅乃は、わざと私を傷つける言葉を言って先輩に未練を残さないように自分が悪役になってくれたんだ。
だから、他人の先輩より私は妹である茅乃の言葉を信じる。
そんな私の気持ち知らない先輩は、ベラベラと喋り続ける。
「最初は相談があるとか言って俺に近づいてきたんだ。志乃の妹だから無下にできないと思って連絡先を交換したら、二人で会いたいとか言って告白してきて」
嫌なら断れたはずだ。
でも、その告白を受け入れたのは先輩だ。
ぜんぶ茅乃のせいにするのは卑怯だと思う。
自己保身に走る先輩に怒りを覚えた。
「さっきも言いましたけど、過去の話を蒸し返されても困ります。その話は終わってますよね」
「俺の中では終わってない。ずっと志乃のことが忘れられなかったんだ。志乃、やり直そう」
この人は一体なにを言っているんだろう。
やり直すことなんて一ミリもあるわけがない。
私の事情なんてお構いなしにそんなことを言う先輩にどんどん気持ちが冷えていく。
こんな自分勝手な人だとは思わなかった。
あの時の茅乃の行動が私を守ってくれていたんだと改めて感じる。