君に捧げる一途な愛
「アイツ、会社で会ったんだろ」

「どうしてそれを……あっ、立花課長ですか?」

「ああ。志乃に絡んでる奴がいたって教えてくれたんだ。様子が変だったから気にかけておいた方がいいって」

「だから、一緒に帰ろうって言ってくれたんですか?」

「まあそうだな」

政宗さんは照れくさそうに言う。
平日なのに一緒に帰ろうと誘ってくれたのは先輩のことを聞いたからだったのか。

立花課長は自分の中だけで終わらせず、政宗さんにも伝えてくれていたんだ。
デキる男の気遣いを肌で感じ、改めて心の中で感謝した。

コインパーキングに着くと、政宗さんは気を取り直すように咳払いした。

「さて、晩飯でも食べに行くか」

「はい」

返事をしながら、止めていた車に乗り込んだ。
会社を出てすぐに私と先輩が話しているのを見かけたらしく、そばにあったコインパーキングに車を止めてここまで来てくれたらしい。

「今日は平日だけど、泊まる?」

政宗さんはエンジンをかけながらチラリと視線を向けてきた。
色気のある瞳で見つめられて心臓が跳ねた。
泊まるという誘いに顔が赤く染まる。

答えを委ねてきているということは、私が首を横に振ればご飯を食べたあとは家に帰るだけだ。
何気なく前髪を触ると、先輩に掴まれて赤くなった手首が見え、その時の感触が蘇りゾワッとした。
今日は政宗さんと離れがたかったので、コクリと頷くと彼はフッと微笑んだ。
そして「わかった」と言って唇に触れるだけのキスをしてから車を走らせた。
< 204 / 219 >

この作品をシェア

pagetop