君に捧げる一途な愛
誰にも負けない一途な愛

十二月の第二週の土曜日。
ついに政宗さんの実家に行く日がやってきた。

どんな服装にするかネットで調べたり、由香に相談したりと一週間ぐらいずっと悩んでいた。
結局、ネイビーのニットに黄色と黒の千鳥格子柄のフレアスカートにコートを羽織った。

手土産は有名な和菓子屋『霜月堂』の栗饅頭や和菓子セット。
政宗さんから和菓子が好きだという話を聞いたからだ。

十五時に政宗さんが迎えに来てくれて、車に乗り込んだ。
朝からずっと緊張しっぱなしで、今も落ち着かずにソワソワしている。
外の景色を眺めたり、集中しようと目を閉じたり、手のひらに文字を書いて飲み込んでみたり。

さっき政宗さんのご両親はどんな人なのか聞いたら『普通の親』としか教えてくれなかった。
『オガサワラ』の社長なんだから普通じゃないでしょとは思うけど。

「弟さんと妹さんは家にいますか?」

「いや、今日はいないよ。弟は独り暮らしだし、妹は出掛けていると思う。というか、妹がいたらうるさくて話にならないから、母さんがあえて妹がいない日を狙ったんだ」

そんな話をしていれば、車は閑静な住宅街に入っていく。
ある一軒家の駐車場に車が止まった。
その駐車場には、私でも知っている高級車と軽四の二台の車が止められていた。

「着いたよ」

その言葉に車から降りる。
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