君に捧げる一途な愛
リビングに通されると、政宗さんによく似た顔立ちで細身の男性がソファに座っていた。
「親父、この人は木下志乃さん。将来、結婚しようと思っている人だ」
そんな風に私を紹介すると、政宗さんのお父さんが立ち上がった。
「初めまして。政宗の父です。今日は、わざわざ来てくれてありがとう」
「は、初めまして。木下志乃と申します。本日はよろしくお願いします。あの、お口に合うといいのですが」
ガチガチに緊張して自分でもなにを言っているのか分からなくなりながら、紙袋から和菓子の入った箱を出した。
「お気遣いありがとう。ありがたくいただきます」
政宗さんのお父さんが受け取ってくれた。
「あら、『霜月堂』?手ぶらでよかったのに。気を使わせてしまってごめんなさいね。でも、ありがとう。立ち話もあれだから座ってちょうだい」
百合さんがお茶を持ってきてくれ、私はソファに座った。
「百合、知り合いなのか?」
「ええ。志乃ちゃんは私が手伝っている料理教室に通っていたお嬢さんなの。すごくいい子でね、私も仲良くさせてもらっていたの。この前もカフェでお茶したのよ」
ね、と百合さんが私に微笑む。
私の隣には政宗さん、テーブルを挟んだ正面には政宗さんのお父さんと百合さんが座っている。
緊張しすぎて吐きそうだ。
「志乃さん、と呼んでもいいだろうか」
「は、はい」
「政宗とはどういう経緯でお付き合いを?」
「親父、そんなこと志乃に聞かないくてもいいだろ」