君に捧げる一途な愛
「はい」

私は政宗さんのお父さんの顔を真っ直ぐに見つめて返事をした。

「そうか。政宗は今の会社を辞めて『オガサワラ』の副社長になる。ゆくゆくは、政宗に会社を継いでもらいたいと思っている」

政宗さんが副社長……。
改めて言われると、政宗さんは私とは違いすぎる家柄の人なんだと思い知る。

「政宗は来年、副社長就任披露も控えているし、今後は『オガサワラ』の顔として会社を引っ張っていく存在になる。政宗は志乃さんと結婚したいと思っていると言っていたが、君はどう思っているんだい?」

政宗さんのお父さんがじっと見つめて問いかけてきた。
その強い視線に目を逸らしたくなるけど逃げるわけにはいかない。

将来、政宗さんは『オガサワラ』のトップになる人だ。
多分だけど、私にそんな政宗さんと一緒にいる覚悟はあるのかと聞いてきているように思えた。

私はギュッとこぶしを握り、震えそうになるのを堪えながら口を開いた。

「正直に言わせていただくと、私は普通の家庭で育ったので政宗さんとは釣り合わないと思います。政宗さんからその話を聞かされてから、彼の隣にいていいんだろうかという不安もあります。だけど、私は政宗さんのことが好きだという気持ちは誰にも負けません。政宗さんが私を選んでくれるのなら、彼の隣に立っても恥ずかしくないように精一杯努力したいと思っています」

こんな大それたことを言う資格はないかもしれない。
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