君に捧げる一途な愛

啓介くんに手を引っ張られ、私は十数年ぶりの滑り台をすべることになった。
向かった先はまさかのローラー滑り台。
高さ的にはあまり高くないけど、ローラーの部分が少し長いかなというぐらい。
さっきも、小さい子供が滑っていたので、三歳の啓介くんでも出来そうだ。

啓介くんは小さな身体で一歩ずつ、滑り台の階段を上る。
私は啓介くんが足を踏み外さないように気にしながら後に続いた。
先に上った啓介くんが滑り台に座り、笑顔で振り返った。

「しのちゃん、ぼくじょうずにすべれるんだよ。みててね。おーい、まーくん」

滑り台のゴール地点にいる小笠原課長に啓介くんは手を振った。
そして滑り台の手すりを持ちガラガラと音を鳴らし上手に滑っていく。
滑り終わった啓介くんが下から私に向かって催促してきた。

「しのちゃーん、はやく」

私も啓介くんがやったようにお尻をつけて座り、ローラー滑り台を滑り始めた。
でも、なぜか私の進みが悪く途中で止まるので、足でローラーを蹴りながらどうにか滑り終えた。

「しのちゃんもじょうずだね」

「あ……、ありがとう」

ローラーってあんなに振動してお尻に響くものだったかな。
滑り台はこれで十分かも。

「もういっかいやろう」

「えっ」

まさかの発言に絶句した。
有無を言わさず啓介くんに手を引かれ、私は再び滑り台を滑ることになってしまった。
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