君に捧げる一途な愛

「いただきます」

啓介くんは小さな手を合わせ、フォークでウインナーを刺して口の中にいれた。

とりあえず、私は自分の作ったお弁当の箱をバックの中から出してみる。

ひとつは啓介くん仕様の小振りな弁当箱、もうひとつは私の仕事の時とかに使っている弁当箱。

智美さんから二人分のお弁当を作ってくれないかと頼まれていた。
てっきり、私と啓介くんの分だと思っていたので、子供の手作り弁当のサイトを見て人気のあるおかずをチョイスして作った。
おにぎりだって、啓介くんが食べやすいようにと小さめに作ってラップに包んだ。

だけど、啓介くんが食べているお弁当は、比嘉部長が小笠原課長に渡していたトートバッグの中に入っていたものだ。

もしかして、智美さんが言っていた二人分というのは私と小笠原課長の分?

小笠原課長が来ることを聞かされていなかったのは私だけだったみたいだし。
それならそうと、最初から教えてほしかったな。

そういえば、小笠原課長は何かしら食べ物を持ってきているんだろうか。
見たところ、小笠原課長の荷物はレザーのお洒落なボディバッグだけだ。
それにはお弁当類とかあまり物が入らないと思う。
私は気になっていることを聞いてみた。

「あの、課長は食べるものとか持ってきてますか?」

「いや、部長からこっちで弁当は用意すると言われていたんだ」

あちゃー、やっぱりそういうことか。
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