君に捧げる一途な愛

「智美さんから二人分のお弁当を頼まれてたんですけど、私はてっきり啓介くんの分かなと思っていたんです。それが、どうやら私の勘違いだったみたいで……。あの、お子様向けなおかずが多いしお口に合うかわかりませんが、よかったら食べますか?」

私はおずおすと口を開いた。
これで断られたら、コンビニでも行ってなにか買ってこよう。
そう思っていたら、小笠原課長は目を見開いた。

「えっ、木下さんが作った弁当?」

「はい。もし、よければですが」

「じゃあ、遠慮なくいただいてもいいかな」

「どうぞ。本当にお口に合うか保証はできませんけど」

何度も念押しして、自分用の弁当箱を小笠原課長に渡した。
一応、自分用は味付けも普通通りだし、量も啓介くん用よりは多い。
とはいっても、一般女性の食べる量なので課長にとっては少ないだろうけど。
啓介くんのために作った、小さなおにぎりも食べてもらえばちょうどいいかな。
あれこれ考えていたら、小笠原課長はお弁当の箱を開けていた。

「いただきます」

小笠原課長が手を合わせて挨拶した後、割り箸でベーコンの野菜巻きを摘まんで食べている姿をドキドキしながら見守った。

「美味しい」

小笠原課長がそう呟いた。

「本当ですか?よかった、お口に合って」

「母親以外で手作り弁当を食べたのは初めてだ」

「そうなんですか?」

意外な言葉に驚きの声が出た。
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