君に捧げる一途な愛
啓介くんに話を合わせているだけだと分かっているけど“好きだよ”なんてワードを小笠原課長が言うなんて卒倒ものだ。
「しのちゃんもまーくんのことすき?」
「えっ」
私の方にも飛び火してきた。
無邪気にそんなことを聞かれても困るよ、啓介くん!
「しのちゃんはすきじゃないの?」
しょんぼりした表情で言われ、私は「そんなことないよ」と慌てて否定した。
「じゃあすき?」
「うん。す、好きだよ」
うわー、何この羞恥プレイ。
顔から火が出そうなぐらい恥ずかしい。
ふと視界に入った小笠原課長の顔も心なしか赤くなっているように見えた。
「ぼくもまーくんすき。みんなだいすきでなかよしだね」
満足そうに笑う啓介くんに私は完敗だった。
小笠原課長が腕時計を見て時間を確認した。
「啓介、そろそろ帰ろうか」
「えー、もうちょっとあそびたい」
「ダメだよ。ママからお昼寝するように言われてるから」
「でもー」
口を尖らせ、帰りたくないアピールをする。
「じゃあ、アイスが食べれないけどいいのか?」
「やだー」
「じゃあ、帰ろうか」
「うん」
「木下さん、ここ片付けてもらってもいい?」
「はい」
小笠原課長はそう言うと、啓介くんを手洗い場に連れて行った。
私は、レジャーシートをバサバサと振り、芝生とか汚れを払い落としてビニール袋にしまった。