君に捧げる一途な愛

「よく眠ってるなぁ」

スヤスヤと寝息を立てて寝ている啓介くんを見る。

事前に、公園で遊んだ後に小笠原課長のマンションに行くことは比嘉部長たちと決めていたらしい。

二十分ぐらいで小笠原課長の住んでいるマンションに着いたけど、車の中で啓介くんはぐっすりと眠ってしまった。
きっと遊び疲れたんだろう。

起こさないように小笠原課長が啓介くんを抱っこして部屋まで運び、リビングのカウチソファに寝かせた。
最初は、寝室のベッドに寝かそうかと考えた。
だけど、起きたときに誰もいなくて不安になったら可哀想だと思ったのでリビングのソファにした。

そして今、どさくさ紛れに小笠原課長の部屋にいる状況にソワソワしている。

十五階建てのマンションの十階に小笠原課長は住んでいた。
玄関からつながる廊下の奥にリビングがある。
廊下を歩いているとき、途中にいくつか部屋の扉があった。
その中の一つはバスルームと洗面所で、さっき手洗いうがいをさせてもらった。

リビングには余計なものは置かれてなくて、家具はモノトーンで揃えられている。
部屋は綺麗に片付けられていて、テーブルの上には無造作に経済新聞が置かれていた。

普通にリビングで座っているけど、いいのだろうかと今更ながら心配になってきた。
小笠原課長の彼女の存在が頭にちらつく。
啓介くんは上司の息子だからいいとして、私なんかがいたらまずい気がする。
思い切って聞いてみることにした。
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