君に捧げる一途な愛
「あの、私ってここにいても大丈夫ですか?」
「どういうこと?」
小笠原課長は意味が分からないとばかりに首を傾げている。
「えっと、啓介くんはともかく、私なんかが小笠原課長の部屋にいることを彼女さんが知ったらいい気持ちはしないんじゃないかなと……」
「彼女はいないから余計な心配はしなくてもいいよ」
「そ、うなんですね」
その言葉に安堵している私がいた。
「それより、木下さんは和菓子好きだよね?」
「はい、好きですけど……」
「よかった。ちょっと待ってて」
どうしてそんなことを聞くのか不思議に思っていたら、小笠原課長がコーヒーと栗まんじゅうがのったお皿をローテーブルに置いた。
しかも、この栗まんじゅうは有名な和菓子屋『霜月堂』のやつだ。
数量限定で並ばないと買えないはず。
「本当は温かいお茶の方がいいいかと思ったけど、うちにはないからコーヒーで我慢して」
「いえ、とんでもないです。ありがとうございます」
まさか、栗まんじゅうを用意してくれているとは思わなかった。
「小笠原課長は甘いもの好きなんですか?」
「嫌いじゃないよ。栗まんじゅうは木下さんがうちに来ると思って朝一で並んだんだ」
それってわざわざ私のために並んで買ってくれたってこと?
申し訳ないやら嬉しいやら複雑な気持ちだ。
「木下さんといえば白玉あんみつだからね」
小笠原課長はクスクス笑いながら言う。
白玉あんみつって……?