君に捧げる一途な愛
私は小笠原課長の優しさに救われた。
あれ?
私の記憶が間違っていないなら、甘いものが苦手だって言ってたはず。
それなのに、さっき甘いものは嫌いじゃないって言ったよね。
今、小笠原課長は栗まんじゅうを食べている。
もしかして、あの時は私のことを気遣って『苦手だから』と言ってくれたのかもしれない。
実際、小笠原課長がフォローしてくれたお陰で場の空気が和んだし。
口数が少ないとか融通が利かない堅物と博美は言っていたけど、全然そんなことはないと思う。
さっきだって普通に笑っていたから、プライベートと仕事はきっちり分ける人なんだろう。
栗まんじゅうをかじりながらチラチラと小笠原課長を観察していたら目が合った。
「んっ、ゴホッ……」
まんじゅうが気管に入ってむせてしまった。
「ちょっと待って」
小笠原課長は慌てた様子でキッチンに向かった。
ペットボトルの蓋を開け、コップに水を注いで戻ってくる。
「これ飲める?」
水の入ったコップを渡してくれ、背中をさすってくれる。
私は水をゴクリと飲んだ。
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「ありがとうございます。お騒がせしてすみません」
「いや、落ち着いてよかったよ」
私がお礼を言った時、小笠原課長との距離が近いということに気づいた。
それに、私の背中をさすってくれていたよね。
小笠原課長の手が私の身体に触れていたという事実に顔が真っ赤に染まる。