君に捧げる一途な愛
こんな風に見つめられるのは初めてで、胸がドキドキと騒ぎ出す。
ピンポーン。
突然、無機質な機械のインターホンが鳴り、私はビクッと身体を震わせた。
「部長たちだな」
小笠原課長は立ち上がってモニターから対応した後に玄関に向かった。
私は小さく息を吐いた。
じっと見つめられると、どうしていいのかわからなくなる。
啓介くんが寝ていると聞かされた比嘉夫妻は、そっとリビングに入ってきた。
「志乃ちゃん、今日は本当にありがとう」
「とんでもないです。啓介くんと遊べてすごく楽しい一日でした」
「そういってもらえてよかったわ。啓介もよく寝てるわね」
智美さんはリビングのカウチソファで寝ている啓介くんを見る。
「かれこれ一時間ぐらい寝てますよ。オヤツのアイスは食べ損ねてますけど」
「ふふ、遊び疲れたのね。我がまま言ったりしなかった?」
「全然言ってませんよ。すごくいい子でした」
滑り台の無限ループはあったけど。
子供と触れ合える機会なんてめったにないので楽しかった。
「あっ、智美さん。お弁当のことなんですけど」
「お弁当?」
「二個作ってって言いましたよね?」
「うん。それがどうしたの?」
智美さんはキョトンとした表情で私を見る。
「あれって小笠原課長の分だったんですね」
「そうだけど。私、言ってなかったっけ?」
私は言われた記憶がない。
ということは、智美さんは私に話したと思っていたんだろう。