君に捧げる一途な愛
「はい。だから、てっきり啓介くんの分かなと思っていたんです」
「あちゃー、ごめんね。言ったつもりになってたわ。大丈夫だった?」
「はい、問題はなかったです」
結果的にどうにかなったので良しとしよう。
「起こしてグズッたらうるさいから、このまま運ぶか」
「そうね」
比嘉部長は寝ている啓介くんをそっと抱き上げた。
「車まで荷物を運びますよ」
「悪いな、政宗」
小笠原課長はトートバッグを持って立ち上がった。
私も三人を見送るために外へ出た。
エレベーターを降りて駐車場まで歩いているとき、智美さんがこっそり聞いてきた。
「志乃ちゃん、小笠原さんと一緒に過ごしてどうだった?」
「えっ、あの……楽しかったです」
「それだけ?」
「それだけ、とは?」
私が首を傾げると、智美さんは気まずそうに頬をかいた。
「ちょっと聞くんだけど、志乃ちゃんて小笠原さんのことを気になってるよね?」
「えっ」
私はその言葉に絶句した。
私が秘めてた想いをどうして智美さんが知っているんだろう。
誰にも話していない、私の片想いというか憧れの気持ちを。
「志乃ちゃんに経理部に行くようにお願いした時、嬉しそうな顔をしているなと思っていたんだ。最初は、同期の子がいるからかなと思っていたけど、ある時それは違うなと確信したわ」
智美さんは自信ありげな表情で言う。