君に捧げる一途な愛

博美は失礼なことを言ってる自覚はあるのかな。
自分のことは棚にあげて好き放題言うのは聞くに耐えない。
適当に相づちをうち、私は手に持っていたビールをゴクリと飲む。

目の前には美味しそうな料理が置かれている。
今日は女子会コースの飲み放題付きで予約しているので、頃合いを見計らった時に料理が運ばれてきている。

そろそろ博美の愚痴も飽きてきた。
博美は喋ることに夢中になったら手を止めて熱弁する。
それが楽しい話ならまだしも、延々と愚痴を聞かされると、こちらもうんざりする。

こんな調子だから小笠原課長が注意する気持ちが分かる気がするわ。
注意されるのは自業自得だから自分の言動を改めたら?という言葉はのみ込んだ。

「もうそのぐらいにしたら?楽しく飲もうよ」

「そうだね。すみませーん、ビールのお代わりください」

博美も喋りっぱなしで喉が乾いたのか、素直に納得した。
お酒も進み、ほどよく顔が赤くなってきた博美は恋愛話にシフトチェンジしてきた。

「あー、彼氏が欲しいな」

「またそれ?」

「だって、最近全然出会いがないんだもん」

そう言って頬を膨らませる。
博美はモテるけど、見た目と中身のギャップがあるからなのか長続きしない。
実際のところ、何が原因なのかは分からないけど。

残念ながら、私は恋愛経験が乏しいのでアドバイスできることはない。
だから、恋愛関係の話を振られても困るんだよなぁ。
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